看護師が育てたのは、子どもの読書を介助するセラピー犬

社会ではさまざまな犬が活躍しています。
盲導犬や聴導犬、被災地で捜索にあたる災害救助犬、テレビ出演するタレント犬などが挙げられますね。
そのなかのひとつ、セラピー犬のなかに、読書をサポートする犬がいることを知っていますか?

『読書介助犬オリビア』は、看護師のサンディと飼い犬オリビアの実話が物語形式で収められています。
読書が嫌いな子、音読が苦手な子のためにサンディが立ちあげた「R.E.A.D.プログラム」は、子どもが犬に本を読んであげるという画期的な読書スタイルを提案しました。

R.E.A.D. Therapy Dog Training

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授業中の音読で惨めな思いをした男の子が、嫌々ながらプログラムに参加すると、つっかえながらの読み聞かせでもオリビアは静かに聴いていてくれます。
ふわふわの毛をなでながら、短い文章を読み、男の子がひらめいた空想も話して聴かせる場面があります。

自分で話を作ればいいんだ。絵を見ながら好きなことを言えばいいんだ。
どんなストーリーでもいい。いま、ぼくを笑う人間はだれもいない。なんてったって、聞いているのは犬のオリビアなんだから。
ぼくが変な話をしたって、だれかに言いつけたりしないよな。なんてったってオリビアは犬なんだから――。
―本文引用

授業中に一人で音読することは、小学生の誰もがとおる道ではあります。
得意な子もいれば、もちろん苦手な子もいる。
それをクラスメイトがひやかしでもしたら、その時間は学習に集中できなくなるものです。
看護師のサンディは入院中の患者の明るい笑顔を見たくてセラピー犬を育てようとしたらしいのですが、元来が絵本好きで、自宅でサンディに読み聞かせているうちに「R.E.A.D.プログラム」を思いついたと書かれています。
市立図書館での活動にはじまり、地域の学校に訪問している実践もストーリー仕立てで描かれています。

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あなたは、犬に本を読んであげたことある?
安楽死寸前のところを救われたオリビアと、落ちこぼれ小学校の中の、さらに落ちこぼれの子どもたち。世界初のは、こんな風にして誕生しました。

「獣の奏者」「精霊の守り人」の作者・上橋菜穂子を知る本

精霊の守り人|NHK大河ファンタジー

精霊の守り人|NHK大河ファンタジー

NHKで放送されたアニメ「獣の奏者エリン」やドラマ「精霊の守り人」をご覧になりましたか?
どちらの原作も児童文学作家・上橋菜穂子の作品です。

『物語ること、生きること』は、上橋菜穂子が幼少時代から影響を受けてきた物の数々を紹介しています。
高校生のときのホームステイや大学院時代のフィールドワーク、遠隔地の文化との出会いは読者にも刺激を与えてくれます。内容も文章量も高学年向けの本といえます。
序章では、物語について、この本について、次のように語っています。

はるか、文字すらないむかしから、人はたくさんの物語をつむいできました。
プロットを立てて、物語をどうやって組みたてるのか、そういう「物語の方程式」を教えることはかんたんです。でも方程式どおりに組みたてた作品は、だいたいがありがちの展開、ありきたりの物語になってしまいます。プロの作家は、反対に、お決まりの方程式をいかに外すかを必死で考えているものです。
ありとあらゆる物語がすでに書きつくされてしまったかのように思えるなかで、自分だけが書くことができる物語に、どうしたらたどりつけるのか。それだけは、人から教わることができない、それぞれの作家が自分自身で見つけだすしかないことなのです。
この本では、私が物語を書くことができるようになるまでをふりかえってみたいと思います。私なりに歩んできた道のりが「どうしたら作家になれるのか。」という質問の、ひとつの答えになっているといいのですが。
―本文引用

人気作家にとどまらず、国際アンデルセン賞作家賞を受賞した上橋菜穂子に憧れる小学生は多いことでしょう。
この本のなかでは、好奇心と行動力こそが創作の原点であることが証明されています。机のうえに、原稿用紙と鉛筆をならべるだけでは物語を紡げないことがよくわかるのです。

また、巻末の「ブックリスト 上橋菜穂子が読んだ本」が充実しています。
本文中にもさまざまな書籍を紹介していますが、巻末のものは年齢別にリストアップされていて、大学生以降になると文芸、学術関係、漫画に分けて掲載。
上橋菜穂子は十代のころから漫画家を志すほど、漫画が好きだったそうです。
小学生と中高生におすすめの本は、翻訳物も含めて古典文学がほとんどです。

物語ること、生きること (講談社文庫) | 上橋 菜穂子, 瀧 晴巳 |本 | 通販 | Amazon

人はなぜ物語を必要とするのか。自分はなぜ物語をつむがないといられないのか。どうしたら自分だけが書くことができる物語にたどりつけるのか。『獣の奏者』『精霊の守り人』を生み出した国際アンデルセン賞作家が、本の虫だった少女時代や文化人類学の研究過程など自らの人生を通じて語る、「物語」とは。