厳しい現実が突きつけられる本作は、希望に満ちた映画ではありませんが、登場人物の苦悩や哀しみを見つめ、多くを想像し、共感し、寄り添うことでその先に繋がる「何か」に気づくことが出来る作品だと感じました。

少子化のこの時代、
子供が減ったからといって、多くの子供に目が行き届いているわけではないのが現状です。
貧困児童、虐待、こどもの自殺、いじめ、不登校など、子供を取り巻く環境はますます複雑化し、混沌としています。
コミュニティの中で生活する以上、対岸の火事では済まされない問題もこの先どんどん増えてくることでしょう。
この映画の、絶望の中に隠された小さな希望を読み解くことが、子供を護るヒントになるかもしれません。

ヒントその1:「想像力」を養うために「学ぶ」ということ

この映画には様々な少年少女が登場します。
両親が不仲で満足な養育を受けられず、夜な夜なお金欲しさに身体を売り歩く少女、猫を虐殺しても心の痛みを感じない少年、裸のような服装で登校する少女、誰それ構わず汚い言葉を浴びせかける少年。などなど、大人からすると見ただけで胸が痛くなるような子供たちがいっぱいです。
愛し方も愛され方も知らない子供たち。
自分の身の守り方を知らない子供たち。
彼らに必要なのは、「学ぶことで未来は開ける」と教え導いてくれて、この世の複雑さを理解する手助けをしてくれる存在だと主人公は語ります。
荒れた学校ばかりを渡り歩いた彼の、静かに語る言葉にはとても説得力があり、フィクションとはいえ自然と惹きつけられます。

Domestic Trailer for Tony Kaye’s ‘Detachment,’ Starring Adrien Brody

Domestic Trailer for Tony Kaye’s ‘Detachment,’ Starring Adrien Brody

この映画では、その役割を教師たちが必死に担おうとしていますが、本来その多くを担うべきである家族の不在が、その状況を作り出しているのは悲しい現実です。
子供たちが自分の考えを失わず信念を持ち、自分を守る技術を手にするためには、思考プロセスを鈍化させないことが必要で、その手段として本を読み想像力を磨くことが重要なのだと主人公が熱く彼らに語りかける様子、またそれを聞く生徒たちの表情には胸を打つものがあります。
現代の学校でもこのようなスタンスで指導をして欲しいと祈るばかりですが、これは家庭でも共通している教育だと言えます。

何故勉強しなくてはいけないの?
なんで本を読まないといけないの?

と子供に問われた時のヒントになるのではないでしょうか。