エドワード・ゴーリー氏の絵本には“色”がありません。
細い線で執拗に描かれたモノクロのイラストは、物語の世界観と絶妙にマッチしており、「大人が好んで読む絵本」として、世界各国にファンがいます。

そんなエドワード・ゴーリー氏の絵本のなかで、特にオススメしたい作品が「ギャシュリークラムのちびっ子たち」・「うろんな客」・「ウエスト・ウイング」の3冊です。

26人の子どもたちが次々と不幸になってゆく「ギャシュリークラムのちびっ子たち」

「ギャシュリークラムのちびっ子たち」は、AからZまでのローマ字が名前の頭文字になっている26人の子どもたちが主人公の絵本です。

こうした絵本を「ABC Book」と呼び、子どもたちの英語勉強をサポートする本として用いられているのですが、エドワード・ゴーリー氏の手にかかると、何の変哲もないABC Bookも緻密で雨雲がかかったような薄暗い描写と軽快で美しい脚韻、そして、26人の子どもたちが次々と当たり前のように怪我をしたり、亡くなったりと不幸な目に遭うという難解な物語展開によって進められてゆきます。

「ギャシュリークラムのちびっ子たち」に登場する26人の子どもたちは、みな同じ不幸に遭うわけではありません。
階段から落ちる子もいれば、火だるまになったり、沼で溺れてしまったりと26通りの事故や犯罪に巻き込まれ、怪我をしたり亡くなってしまいます。

子どもたちの死に際が淡々と描かれている「ギャシュリークラムのちびっ子たち」を初めて読んだ人は気分が悪くなるかもしれません。ですが、なぜかもう1度読みたくなるという不思議な魅力があります。

遠足や修学旅行など子どもたちが遠出をする際、普通の子どもたちは何事も無かったかのように親元へと戻ってくるのですが、平穏な日常が、常に“死”と隣り合わせであるということをギャシュリークラムのちびっ子たち26人が教えてくれているのかもしれませんね。

ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで

大人のための絵本作家として世界的なカルト・アーティストであるエドワード・ゴーリー。子どもたちが恐ろしい運命に出会うさまをアルファベットの走馬灯にのせて独自の線画で描いたゴーリーの代表作。