今回ご紹介する「ワンダー」は、
児童向けの小説ながら、大人も魅了し、アメリカではNYタイムズベストセラー第1位にもなっています。
映画化もされ、2017年の秋に公開されます。

Wonder (2017 Movie) Official Trailer #2 - “Brand New Eyes” – Julia Roberts, Owen Wilson - YouTube

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※当記事は本の文章を引用しています。予備知識をつけずに、まずは小説を楽しみたい、という方は、先に小説を読んでから、この記事を楽しんでくださいね!

「ふつう」って、どういうこと?

主人公のオーガスト(通称オギー)は、生まれつき顔に障害のある10歳の男の子。
その障害とは、遺伝子の変異によって顔面に異常が現れる下顎顔面異骨症という疾患です。

オギーは物語の中で、自分の外見について「説明しない」と語り、その理由についてこう言っています。

「きみがどう想像したって、きっとそれよりひどいから。」

オギーは自分が「ふつう」の子とは違うということを分かっていて、そして、その状況を受け入れようと懸命に生きています。とても賢く強い男の子です。
だけど、ひとつだけ願いが叶うとしたら「ふつう」の顔になりたい、時々そんなことも考えてしまいます。

しかし、そもそも「ふつう」「ふつうじゃない」とはどういうことでしょうか?
オギーはこんなことを言っています。

「ぼくがふつうじゃないのは、だれからもふつうだって思われてないからじゃないかな。」

オギーは心の中では自分のことを、アイスを食べたり、自転車に乗ったり、ゲームをしたりする他の子と変わらない「ふつう」の男の子だと思っています。
けれど、周囲はそんな風に自分を見てくれない。
だから、自分は「ふつう」になれないんだ、と感じているようです。

そしてこれが、この物語の鍵でもあるのです。

「オーガストはふつうの子」

小さなころから手術を繰り返していたオギーは、10歳にして生まれて初めて学校に行くことになります。
そして、誰もが不安に思っていたことが起こります。
心ない言葉を浴びせる子がいたり、「病気がうつる」とオギーを避けるようになったり…。
つまり「いじめ」です。

しかし、そんな状況でもオギーには2人の友達ができました。
ジャックとサマーです。

ジャックは、最初、校長先生に頼まれて仕方なくオギーと仲良くしていたのですが、オギーのことを知るうちにオギーとずっと友達でいたいと思うようになります。

「オーガストの顔には慣れてしまう。(中略)一週間くらいしたら、まあ、大丈夫かもって感じになっていた。」

「オーガストがどんなやつかわかってきたら、ずっと友だちでいたくなった。(中略)あいつになら、なんだって話せるような気がしてる。親友だって思える。」

そして、登校初日、ひとりぼっちでランチを食べていたオギーに声をかけたサマーは、こんなことを言っています。

「オーガストはふつうの子。今まで見たことないほどおかしな外見はしてるけど、でも、ふつうの子ども。」

彼らは、オギーのことを知るうちに彼の外見ではなく、賢くユーモアたっぷりの魅力的な内面を見るようになります。
そうです。オギーのことを、「ふつう」の子、と思って接してくれる友達ができたのです。

やがて、その連鎖がクラスや学校中に起こり、一人、二人とオギーを受け入れてくれる子が増えていきます。
そして物語終盤、「奇跡(wonder)」が起こります。