一人の少年の、喪失と再生の物語

一見すると、とても児童小説には見えない装丁。
モノトーンのおどろおどろしいビジュアルは、手に取った38歳男子(私)をもすら、不穏な気持ちにさせました。
児童小説『怪物はささやく』は、2007年に癌のため逝去したイギリスの作家・シヴォーン・ダウドが原案し、死後、彼女が残したメモをもとに、気鋭の作家・パトリック・ネスが完成させた作品。

13歳の少年コナーのもとに、イチイの木の化身である怪物が夜な夜な現れるという、ホラーやダークファンタジーを連想させる設定のお話ですが、いったん読み始めるとグイグイ引き込まれる展開で、次第に解き明かされる主人公コナーの心の機微に、胸が締めつけられます。
日本でも2017年6月に映画の公開が決まりましたね!英語版ですが映画の予告編動画を貼っておきます。

『怪物はささやく』本予告 - YouTube

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泣ける!原作を読んだあとだから、よりいっそう泣ける!
本編は200ページほどでコンパクト。しかし濃密で流れるような展開が、短さを感じさせません。
物語の終盤、左手の指の感覚が感じる残りページ数の少なさから、

(えっ…大丈夫??まだモヤモヤした感じだけど、解決する??)

と不安になりますが、安心してください。

めっちゃ解決します。

クライマックスのシーン、壮大な情景の中で繰り広げられる怪物と少年の、切なくも希望に満ちたやりとりに、大人もフルフルと震えます。いや、それなりに歳をとり、良いことも悪いこともたくさん味わった大人だからこそ、怪物の伝える真実が刺さってしまうのかもしれません。

でもこれ児童小説だよね?

38歳男性(79kg)が感動することはわかったとして、これは児童小説。子供がこれを読んで何を感じるか、という点は、とても興味深いです。
あくまでも僕の感覚ですが、小学5〜6年生ぐらいからでないと、この物語の真意は汲み取れないかなと感じます。漢字はなんとか読めたとしても、物語の展開にある程度の想像力や理解力を求められるので。
世の中の理不尽な面や、人間関係の難しさを少なからず感じ始めた子どもたちに、是非手にとってもらいたいでですね。

映画の方も実力派のキャストが揃っていて、面白そう!