映画のあらすじ

世界にはいろいろな国があって、
いろいろな人種の人が住んでいて、
いろいろな宗教があることは教科書に書いてありますが、その人たちが一体どんな暮らしをしているのかを想像するのはなかなか難しいものです。
この映画は、宗教上の理由から、女性に対する人権の制限が非常に厳しいとされるサウジアラビアで暮らす、10歳の少女の日常を描いた作品です。

日本では考えられない厳しい習慣や規則の中で、もがきながらも逞しく生きる女の子の姿には親近感が湧き、

「もし自分だったらどうするだろう」

と、子供でも容易に感情移入でき、広い世界を身近に感じるにはとてもよい作品です。

ワジダは好奇心旺盛な10歳の女の子。
彼女の今の最大の関心事は、男の子が乗っているような自転車を手に入れ、それに乗って彼らと競争をすることだ。
もちろん母親には買ってもらえず、
彼女は手作りミサンガを売ったり、逢引の仲介をしたりして小銭を稼いでいるが、自転車を買う金額には程遠い。
おまけにミサンガの密売も逢引の仲介も、校長先生に見つかって厳しく叱られ、もはや八方塞がりの状態。

そんな時、コーランの暗証大会が校内で開かれることになった。
優勝賞金は自転車を買うのに充分な金額、ワジダは優勝を目指して頑張るのです。

女の子に許されないことがいっぱいある

男の人に顔を見せてはいけない。
もちろん、話すことも禁止。
道を歩くときは、ヒジャブと呼ばれる布で頭を覆わなくてはいけないし、車の運転もダメ、自転車に乗ることさえも白い目で見られる行為だし、雑誌を見たりペディキュアを塗ったり、友達と手を繋ぐのも禁止なんて!!

日本に住む我々は驚くことがいっぱいです。
好奇心旺盛なワジダは怒られても、我関せず、やみくもに我が道を突き進みます。嘘もつくし、大人に文句を言い、堂々と賭け引きもします。

Wadjda - Film Review - Impulse Gamer

Wadjda - Film Review - Impulse Gamer

そんな彼女が突き進んで壁にぶつかった時、出会うのがコーラン。
そのコーランこそが、自身の行動を制約している一因だということを、ワジダはわかっているのかわかっていないのか。皮肉な取り合わせです。
暗証大会で優勝すべく一心に暗記をして、美しくコーランを暗唱する彼女の歌声が、少し残酷に聞こえるのは気のせいでしょうか。

大人になっても変わらない現実

正しい女性であるワジダの母は、
男性のいる職場を避け、長い通勤時間をかけて遠くの職場に通います。
運転は禁止されているので、好きな時間には外出できず、いつも運転手に嫌味を言われています。

また一夫多妻制のサウジアラビアでは、本妻に男子が生まれなければ、夫は公然と別な女性を娶ることになります。
ワジダの母も例外ではありません。
夫婦仲は良くとも、ワジダの父は他の女性と結婚することが決まります。ワジダの父も妻とワジダを愛していますが、ワジダが女児である限り、ワジダは一族の家系には入れません。

Wadjda | Mr C Media

Wadjda | Mr C Media

夫を愛している母はその現実に苦しんでいます。
大人になったからといって自由になることはないし、正しい妻であっても報われないこともあることを、ワジダの母の姿から教えられます。

女性の柔らかな抵抗

ワジダが優勝できたかどうかは、映画の中で確かめて頂きたい部分ですが、ラストシーンはとても明るい気持ちで彼女を見守ることができる作品となっています。
彼女を見守り続ける近所の男の子も、この映画の救いの部分であり、この先の「少し明るい未来」を予感させる存在と言えるでしょう。

サウジアラビアには映画館がないそうですが、
映画館がない国でこの映画を撮ったのは、本作が長編映画デビュー作となる、サウジアラビア初の女性映画監督のハイファ・アル=マンスール監督。
少しずつではありますが、
女性に門戸が開かれる分野も、この先増えていくのかもしれないですね。

映画『少女は自転車にのって』予告編

【予告編】少女は自転車にのって - YouTube

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