貧乏な旅から学ぶ今の幸せ

オンボロバイクにテントと毛布。所持金はほんの少し。
家族の笑顔に見送られて、彼ら二人はブエノスアイレスを出発します。
お金さえあれば、どこでもなんでもカンタンに手に入る今の時代ですが、カンタンに手に入ったものにありがたみは感じないのが人間というもの。
時には一文無しに不安を覚え1円のありがたみを知り、極限の空腹を体験しパンひとつの美味しさを知る、究極の寒さに身を震わせ毛布一枚の暖かさに涙をながす。
そんな旅も悪くないかもしれません。今の生活がどんなにめぐまれているのかを身体を張って体感できる貴重な経験です。
恵まれすぎたこの時代では実は贅沢な旅、究極のアドベンチャーではないでしょうか。

Literary Breaks  | Rough Guides

Literary Breaks | Rough Guides

可愛い子には旅をさせろ

医学部を休学して貧乏旅行に出るという息子を心配だけれども黙って抱きしめて見送る家族が素敵です。
なかなかできないと思うのですが、この親だからこの子が育ったのでしょう。是非見習いたいところです。
旅の途中の街のホテルに旅費の援助をさりげなく送金してあげていたあたりも実に心憎いです。

広大な自然の中で土と草の匂いを嗅ぎ、風の音を聞く

Journey The Motorcycle Diaries - HeyUGuys

Journey The Motorcycle Diaries - HeyUGuys

彼らが旅をするのは南米の大自然。雪山を通りマチュピチュに寄ったりととにかく荒野をひた走ります。
ビルに囲まれる中、どこにでも携帯の電波が飛んでいてスマホが手に張り付いている現代の生活。
行き詰っているときには全てを置き去りにして広大な自然を見るのが一番のクスリなのかもしれません。
雄大な自然に比べたら自分はなんてちっぽで、ちっぽけなことをなんで悩んでいるのだろうと思えたら、目の前に光が見えてくるのかもしれませんね。

優しさは強さである

実際のチェ・ゲバラですが、
革命戦争時、負傷した兵士には敵味方分け隔てなく同じように治療を施したとの逸話もあるように人を差別しない、優しい人物だったようです。
映画の中でも彼が弱者に向ける眼差しはとても優しく、それでいて偏見がなく非常に温かなものとして描かれています。
彼らを救いたいという思いが彼が革命家を志す一因となったのかもしれません。英雄には優しさが必要だと彼は教えてくれるのです。

“Swarms” Entering the UK? What We Can Still Learn About the Migrant Crisis From Che Guevara

“Swarms” Entering the UK? What We Can Still Learn About the Migrant Crisis From Che Guevara

人との出会いは人を育てる

貧乏旅行でテントを風に飛ばしてしまい、野宿や居候を繰り返す彼らですが、人を騙す事もしばしば。そんな中でもたくさんの出会いと別れがあり、それが彼らを成長させていくことになります。
特にチェ・ゲバラの変化は目を見張るものがあり、出発前と最後旅立ちでは表情が全く異なるあたりはこの映画の見所の一つです。
病に臥せてもお金がなくて治療が受けられない老人、銅山で不当に労働を強いられる人々、隔離されるハンセン病患者など、多くの人との出会いが彼を成長させたのだと確信が持てる作品となっています。
もちろん、ガエル・ガルシア・ペルナルの名演によるところが大きいことも特筆すべき点、どこか弱々しい青年から志を秘めた大人に成長する彼を是非ご堪能下さい。

いかがでしょうか。
突然南米に度に出たり、一人旅をしたりするのは難しくとも、この映画が何かしら変化させたくなるきっかけになれば幸いです。