ブラック部活動とは?

夏の時期に最も注目されるスポーツといえば、高校野球甲子園大会ですね。
厳しい練習を耐え抜き、予選を勝ち抜いた球児たちのハツラツとしたプレーを見ると、私は高校時代を思い出します。

私も、高校時代は甲子園を目指した球児の一人でした。
夏の暑い日も長時間の練習を行い、休みは週に1回程度。ミスをすれば怒られ、中には殴られる人もいました。
当時は、部活動において当たり前だったことも、今では問題になり、ブラック部活動と呼ばれる由縁になっています。

ブラック部活動とは主に、朝と夕、土日も夏休みも部活に明け暮れ、ミスすれば殴られることが常態化した部活動を指します。
部活の体罰問題が大々的に注目されるようになったのは、2013年、大阪の市立高校バスケ部主将の男子生徒が顧問から体罰を受け、自殺したことが発端となっています。
これまで、部活内の「いじめ」「体罰」「過度な練習」などといったものは、ある程度認知はされていましたが、大きな問題となることはあまりありませんでした。
しかし、時代が進むにつれ環境が変わり、考え方が変わっていったのです。
現に、今年の1月、文部科学省から全国の教育委員会などに向けて、部活に適切な休養日を設けることを促すお達しが出ました。

ブラック部活動の実態

私は、小学5年生から学校のソフトボールクラブに入り、中学生になると野球部に入部しました。
当時の顧問はとても怖く、

「殺すぞ!」

などの暴言、さらに中途半端なプレーをすれば、長時間の走り込み。
高校生に進むと、さらにその上をいく過酷な環境!
中高生の間、暴言、長時間の練習、休みが少ないのが、私にとって当たり前な状況になってしまっていました。

今なお、生徒への暴言や、体調を崩すほどの長時間拘束といった、部活ハラスメントは深刻化しています。
野球の練習でボールを取り損ねただけで土下座を命じられたり、朝8時から夕方5時までの練習が連日続いたりなど、心身ともに成熟していない子供に対し、悪影響を与える指導が全国で広がっているのです。

今から10年前、兵庫県の高校でテニス部員の女子生徒が部活動中に熱中症で倒れ、そのまま寝たきりとなってしまった事件がありました。部員の体調管理も指導に含まれると私は考えており、指導によって部員の人生を台無しにしてしまうことがあるのです。

子供たちの思い

「辞めれば解決するのではないか?」

そう考える人は多いかと思います。
しかし、子供たちにとって辞めることは相当勇気がいる行動なのです。

一つは、子供たち同士のつながりが断たれてしまうからです。
多くの時間を部活に費やす分、生徒同士の繋がりというのは深くなります。
そのため、辞めれば部活の仲間に話しかけるのも気まずくなり、今まで築きあげたグループから離れざるを得なくなったり、新たな繋がりを作ろうにもすでにグループができて、

(自分は孤立してしまうのでは…)

と不安にかられます。
一人で行動することが恥ずかしいと思う年齢にとって、部活動を辞めることはそれなりのリスクを負うのです。

もう一つは、自分自身の目標を失ってしまうかもしれないからです。
多くの部活動は、都道府県予選から全国大会へと目標が定まっており、「甲子園」「普門館」「春高バレー」など、小さい頃から目指していた目標を達成するために、ある程度の厳しい環境は覚悟の上で入部します。

高校生になって心身ともに成長した学生は、そこで我慢することも覚えます。
親に迷惑をかけたくない一心で、部活の状況を正直に話さないこともあるでしょう。
中には、部活の推薦で大学に行きたいと考えている生徒もいます。
もし辞めてしまったら、目標を失い、人生に悪影響を与えてしまうのではないか、と不安になる学生は多いのではないでしょうか。

ブラック部活動の背景にあるもの

対して、顧問はなぜ暴言を吐いたり、体罰をしてしまうのでしょうか。

一つの原因として、顧問の知識不足が挙げられます。
部活動の顧問の中には、素人でその部活について詳しくない人が多くいます。そこで専門的な指導ができないため、結果的に根性論に走ってしまい、感情的になってしまうのです。
昔は部活中に水分を取ることが禁じられていたり、体罰が当たり前だったこともあり、自身の経験をそのまま生徒に指導してしまうこともあります。

また、部活の顧問も担当したとしても、わずかな手当てしか出ず、そのストレスの発散として生徒が標的になってしまうことも考えられるでしょう。

ただ、一概に顧問の責任としてしまうのは、いけません。
先述したように、顧問の中には競技に詳しくない人が多くいますが、いざ試合に負ければ「顧問の指導法が悪い!」など、顧問の技量に関係なく、保護者から容赦ないクレームが浴びせられます。
それがプレッシャーやストレスになり、長時間の練習に繋がったり、自分の思い通りにならなければ、生徒にきつく当たってしまう可能性も否めません。

ブラック部活動を減らすために社会全体で取り組むこと

しかしながら『ブラック部活動』問題は、顧問を変えれば解決するというような、単純な問題ではありません。
根本的な解決のためには、社会全体で取り組む必要があるのではないでしょうか。

技術的な指導ができない素人の顧問を減らすために、適材適所の配置をしたり、指導がしっかり行われているか定期的に調査をする機関を強化したり、行政や教育委員会が主導して、学校の部活動をサポートする体制を整えることが不可欠と思います。
また、課題は多いとは思いますが、部活動の顧問の手当てを充実させることも、一つの手段になるのではと感じます。

そして、ブラック部活動を減らすためには、何よりも保護者の協力が必要だと思うのです。
子供の様子がおかしかったらじっくりと話し合い、本音を言い合えるような関係を築くことが大切です。
また、その際に注意しなければいけないのは、部活動の顧問に対し、一方的な主張をしないことです。
経験上、その強い主張が顧問の行動を変えてしまうことがありうると思うからです。

この記事で述べてきたように、『ブラック部活動』問題は、さまざまな要因を抱えています。
部活動は顧問一人に任せていいようなことではなく、顧問、生徒、保護者、この三者の協力体制があってこそ成り立ちます。
保護者として顧問に自分の考えを押し付けたり、顧問に全てを任せていないか、まずはそれを自問自答することが保護者の役割ではないでしょうか。