子どものごっこ遊びを見たり聞いたりしていると、おもわず笑ってしまいますよね。

「そんな言葉をどこで覚えたんだろう?」
「一人何役もこなすぐらい熱中している…」

と感想はそれぞれだと思います。
小学1年生の国語で「ものの 名まえ」という単元があります。お客さんになって買い物したり、お店屋さんになって売ったりと、その時間は教室がにぎやかで、さながら商店街のようです。

絵本にも数多くのお店屋さんが題材として登場します。
今回は店主や店員、お客さんの気持ちになれる絵本を5冊紹介します。

パン屋のろくちゃんの困りごとは、家族と商店街のみんなが解決

シリーズ1巻『パンやのろくちゃん』は、商店街に暮らすパン屋の息子ろくちゃんの日常を描いた4話が楽しめます。
人気絵本作家・長谷川義史の表紙は子どものみならず、大人も思わずページをめくりたくなる不思議な力を持っています。
2話「しょうてんがいでおこられるのまき」、4話「いぬをかいたいようのまき」では、パン屋の息子であることが、ろくちゃんにとってプラスにもマイナスにも反映される様子がわかります。

「ねえ ぼくも ゆきちゃんみたいに
いぬを かいたいよう。」
「うちは パンやさん。
もし いぬが おみせで
うんこしたり したら
いけないから、
いきものは かえないんだよ。」
おとうさんが いった。
「いやだー、かいたいよう。」
「ろくは パンやの こだろ。
しんぼうしないさい。」
「うえーん、かいたいよう!」
〜本文引用〜

食べものを商売にする家では、何度でも繰り返されているであろう親子の会話。
自分の家がパン屋であるために、やりたいことを我慢しなければならないろくちゃんの気持ちは、読者の子どもたちにも伝わるのではないでしょうか。

終盤には父親の優しさがきちんと用意されていて、大人のわたしも思わず

「パン屋の息子でよかったね、ろくちゃん…」

とつぶやいてしまいました。
1巻には商店街のお店屋さんが他にも登場します。
八百屋、魚屋、肉屋に花屋。スーパーやショッピングセンターで買い物することが多い現代っ子にとって、商店街は専門店が並んでいることを知るきっかけになるのではないでしょうか。
始めと終わりの四コマ漫画は、関西人の長谷川義史らしい笑いを提供してくれます。

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しょうてんがいのパンやのろくちゃん、いつもげんきでかおがパンパン。さてきょうはいったいどんなたのしいことがおこるかな…。

大豆からできているんだ!豆腐の作り方がわかる科学絵本

正統派の科学よみものとして出版されている福音館書店の月刊誌「かがくのとも」。
2011年11月号『おとうふやさん』が、2016年1月に「かがくのとも絵本」として発行されています。

近所の豆腐屋の店先でみっちゃんが気になったのは大きな桶。店主のおじさんがふたを開けると、なかにはたくさんの大豆が水に浸けられていて、明日の豆腐作りのための準備だと聞かされます。
製造工程を見においでといわれ、翌朝の暗いうちから、みっちゃんとお母さんは豆腐屋へと足を運びます。

「みてごらん。きのうから みずに つけていた
だいずが こんなに ふくらんだよ」
みっちゃんが だいずを かじってみると、
きのうより やわらかくて あおくさい あじがした。
「これが ほんとうに おいしい おとうふになるの?」
「さあ、どうなるか みていてごらん」
―本文引用

大豆をすり潰す臼、湯気があがる煮釜、豆乳を搾り出す機械、にがりを入れて凝固する絹ごし豆腐や木綿豆腐、揚げ物に加工される厚揚げに油揚げ、がんもどき。
職人の完璧な仕事を忠実に描き出しています。
28ページの絵本で、豆腐の製造工程や商品、店頭販売、食卓にならび味わうまでの流れがわかります。

日本の伝統食である豆腐は子どもにとっても身近な存在です。離乳食のころから覚えた味は、年齢を重ねてもさまざまな調理法で楽しめます。
『おとうふやさん』の読み聞かせは、食育という観点からも重宝されるのではないでしょうか。

おとうふやさん (かがくのとも絵本) | 飯野 まき |本 | 通販 | Amazon

商店街の豆腐屋さんで、大豆がいっぱい入った桶を見つけたみっちゃん。翌日、朝早くから、豆腐屋さんで豆腐作りを見学させてもらうことになりました。