教室に居づらさを感じたら!現役教師が描きだす男子と女子の心模様

ブルーとオレンジ (文学の扉) | 福田 隆浩 |本 | 通販 | Amazon

現役教師が描く子ども目線の教室内カースト。「いじめを生む空気」に立ち向かい、戦う勇気を与えてくれる衝撃作。

『ブルーとオレンジ』は、ブルー(男子の仮名)とオレンジ(女子の呼び名)の章に分かれて話が展開します。
ふたりの主人公は、友だちとしゃべるように読者へ訴えかけ、遠足やサッカー大会などいくつかの出来事を軸に、クラスメートとのやりとりがわかります。

お弁当を黙々と食べてると、なにかがぼくの肩に当たった。
それは唐揚げの食べたあとの骨だった。だれかがぽんと投げたのかもしれない。ちょっとした悪ふざけみたいなものかも。
そのときはすごく簡単に考えてた。たった一度っきりのことだったから。
あーあ。
ぼくってなにやってんだか。今までの経験はなんにも役に立ってないじゃないか。
そのとき確信してもぜんぜんおかしくなかったのに。
そう、最初の予想どおり、ぼくがまずい状況になってきてるってことに。
―本文引用

悪いなあって思ったけど、仕方ないよ。
だって、へたなことしちゃうと、今度はうちが仲間はずれになるかもしれないんだから。
自慢じゃないけど、今までうち、みんなに冷たくされてたとか意地悪されたことなんてないの。それなりに、いろいろ気をつかってさ、がんばってきたもん。
来年は小六だし、次にはもう中学が待ちかまえてる。今、まずいことになったらさ、ぜったい中学まで尾を引くに決まってるんだよ。
ずるいようだけど、巻きこまれたくはないの。たぶん、そのあたりはだれだってわかってくれると思うけどなぁ。
―本文引用

どちらとも遠足の日、ブルーとオレンジがつぶやいた言葉です。
すでに不穏な空気が漂っていますよね。

最初のきっかけは小さなものでも、根っこがあれば、それは芽を出して成長し、いつしか悪い実が生るものです。
ふたりとも、そうなる運命を自分の力で解決しようと知恵を絞ります。
高学年にもなると、実力行使ではありません。何度も何度も頭のなかでシュミレーションしながら、害虫を取り除き、日光や水を味方につけるように自分らしい武器を持ち、最後には花を咲かせるのです。

普通教室照明

普通教室照明

これって絶好のチャンスだった。だって、伊藤くんのチームにはいることでぼくの武器はさらに効果を増すはずなんだからね。
よかった。毎朝、伊藤くんを待ちぶせしたかいがあったよ。
むこうのチーム。つまり、敵のチームには八木沢くんと平松くんがはいってる。そしてさっきからちらちらとぼくのほうを見てる。どうやら、ぼくを一番にアウトにしようという考えみたいだ。
そうはいかないよ。いつもはそうでも、今日だけはそうさせるわけにはいかないんだ。ぼくも必死なんだからね。めずらしくさ。
―本文引用

それからいろんなことがあった。
でも、いちいち書いてたらきりがない。
とにかくうちは、自分のやってた根回しをひたすら反省した。
いちばんいけなかったのは、最初に話さなきゃいけなかった人に話してなかったってこと。もしそうしてれば、次のステップがはっきりしたかもしれないのに……。
―本文引用

大人の読者にとっては痛快でも、小学生にとっては居場所を確保するための闘いでもあります。
独りで優位な立場を守るのではなく、友情や協調を大切にしようと訴えかけた物語です。