美術館ならではの展示方法に、子どもたちが大興奮!

「うさこちゃんを描いてる人の作品が見られるって!」

といって、テーマパークに行くかのように子どもたちを美術館の展示会へと誘い出しました。
ディック・ブルーナのほか、建築家のヘリット・トーマス・リートフェルト、デザイナーのコー・フェルズーの作品を併せた大型企画展に、フライヤーを見た段階で私の心は浮き立っていたのです。

県立美術館 - 大分県ホームページ

県立美術館 - 大分県ホームページ

冬の休日の美術館はたくさんの人であふれ、6歳の息子と4歳の娘を連れた私は、館内の様子を見て少し安心しました。
独身時代は美術館や博物館に足を運ぶことは多かったのですが、子どもが生まれてからは幼少向けの企画展だけに限定していたのです。今回のように家具と玩具とデザインがミックスされたものは初めてだったので、雰囲気次第では子どもの声がうるさく感じるのかもしれないと思っていたのです。
けれど、エントランスには数組の親子がいるから大丈夫だろうと、勇んで3人で展示室に入りました。

展示会の概要や作家の経歴などが紹介されたパネルを通り過ぎたところに、絵本や雑誌で見かけるブルーナの作品があちらこちらに見られました。
ケースの中で整然と並んでいるものもあったのですが、天井から2列の糸(正確な素材はわかりませんが、細い糸状のものでした)が垂れ下がり、その糸が作品を宙吊りにしているものに目が釘付けになりました。
表と裏の両面が見られるし、そもそも展示方法が目を引きます。

大分県立美術館で「オランダのモダン・デザイン」展 担当学芸員によるトークも - 大分経済新聞

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やはり小さい子供を連れての美術館は大変…

子どもたちは上から垂れ下がっている物体に興味津々。
そのエリアはガラスやロープなどの区切りがないため、大人なら間近で作品と触れ合える絶好スポットです。
3人で近寄ると、黒スーツを着た女性がさっと私の横に立って声をかけました。

「申し訳ありませんが、お子さまがお近づきにならないようお気をつけください」

やはり、注意です。
監視員の方からすれば、作品を守ために幼児の行動には目を光らせないといけないのでしょう。
入室前から覚悟はしていたので、私は息子と娘に作品には触らないこと、大きな声をださないこと、もちろん走らないことを再度約束しました。

気を取り直して歩いていると、次に子どもたちが興味を持ったのは円状のケースに収められた木製玩具でした。
ゆっくり歩けば10秒ほどかかる大きさの円で、側面は透明な板で囲われています。
赤や青で塗られた工事用自動車がいくつか並んでいて、製作された年代はもちろん違いますが、我が家にも似たようなおもちゃがあります。
娘は背伸びをして必死に見ていて、息子はぐるぐるとケースの周囲をまわりながら玩具を見ていました。

「申し訳ありませんが、お子さまにお気をつけください」

さきほどとは別の女性が、またも私の横に立って注意を促しました。
よく見れば、娘はつま先立ちをがんばりすぎて鼻息でケースを曇らせているし、息子の歩き方は美術館では不適切な速度になっていました。幼児を連れてくるのは大変……

ため息をつきながら辺りを見回すと、未就学児を連れた親子はうちと同じように注意を受けているようです。
しょうがない、これも経験だ、と思って次のエリアに行こうと子どもたちに声をかけました。

けれど、息子と娘も母親と同じように居心地が悪くなってきたようで、「もう帰ろう」と不機嫌そうに言いました。ここまでの滞在時間およそ10分です。
入場料も払っているし、そもそも入室して10分で退室なんて納得できません(汗)
それでも、ふたりはずんずんと出口のほうへと向かっています。

展示会は早すぎたかなぁ…
と後悔しながらふたりを追いかけていると、出口の手前にディック・ブルーナの絵本コーナーを見つけたのです。
ラグのうえには、我が家の本棚にもある正方形の絵本が雑然と置かれていました。

From our continental correspondent - Dick Bruna retires Miffy - Forbidden Planet Blog

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しかも、私たちが絵本コーナーに来たときには先客がおらず、息子と娘はここが自分たちの場所だと悟ったのでしょう。靴をぬぎ、一冊を選ぶと思い思いの格好でページをめくりはじめました。

絵本を与えていれば少しの間は静かにできるふたりですから、私はまだ見ていない作品たちを足早(美術館ではこれもきっといけませんね)に回りました。
ブルーナ・カラーが会場全体を包みこんでいて、外の木枯らしを忘れさせてくれるぬくもりを感じました。
オランダを代表する作家の小さな作品や大きな作品が一堂に見られたので、やはり来館したのは大正解!

帰りの車中、息子と娘はすぐに寝息をたてました。
非日常の空間に連れて来られて疲れたのでしょう。
我が家にとって冒険の一日となりましたが、親子でまた一つ成長したように思えます。
ディック・ブルーナの作品を展示してくれた大分県立美術館に感謝します。